「まだ若いからいい」「結婚したい気持ちが湧いたときでいい」――こういう考え方を、多くの30代の人が抱えています。実際、30代は社会的にも仕事面でも変化の多い時期で、「いつ婚活を始めるか」が悩みどころになります。
ただ、婚活の統計データを見ていくと、「30代で動き始めた方が、婚活成功の可能性が高く、40代から始めると壁が高くなる」傾向が確かに存在します。以下では、まず40代から始めるリスクをデータベースで整理し、そのうえで「なぜ早めに動いたほうがいいか」を論じていきます。
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統計データが示す「年齢と婚活・成婚率」の関係
婚活・結婚相談業界、そして国勢統計から得られるデータをもとに、年齢によるハンデや傾向を見てみましょう。
IBJ成婚白書・結婚相談所データから見える年齢効果
IBJ(日本結婚相談所連盟)は成婚白書を毎年発表しており、年代別の成婚率・傾向が読み取れます。
- IBJの2024年度白書では、男性・女性ともに30代前半が最も成婚率が高いという傾向が確認されています。
- 同白書によれば、男性では「30~34歳」の成婚率が高く、40代以降では成婚率が明確に低下する傾向があるとされています。
- 女性については、20代〜30代前半が成婚率のピーク層であり、35歳以降は年齢上昇とともに下降線を描くというデータがあります。
たとえば、IBJデータでの成婚率(男女・年代別)は次のような数値です。
| 年齢層 | 男性 成婚率 | 女性 成婚率 |
| ~29歳 | 42.5% | 36.4% |
| 30~34歳 | 49.0% | 35.8% |
| 35~39歳 | 46.2% | 30.3% |
| 40~44歳 | 39.0% | 22.5% |
| 45歳以上 | 23.6% | 15.7% |
このように、男女ともに年齢を重ねると成婚率は低下する傾向が統計的に明らかです。
また、結婚相談所の年齢別成婚率を示す別のデータでは、以下のような傾向が示されている例もあります。
- 30代男性:成婚率が50~55%前後
- 30代女性:成婚率が40~50%前後
- 40代男性:成婚率が35~45%前後
- 40代女性:成婚率が20~30%前後
この差は、年齢が進むほど「条件面でのハードル・出会いの機会・選択肢の減少」などが影響を及ぼしていると考えられます。
国勢調査・未婚率・年齢統計から見る実態
婚活市場だけでなく、国の統計データからも、40代で婚活を始めることのリスクは裏付けられます。
- 総務省統計局によると、令和2年(2020年)の国勢調査で、40代の未婚率(既婚・未婚比率)は次のようになっています。
- 40〜44歳女性:未婚率 約19.4%
- 45〜49歳女性:未婚率 約17.6%
- 40〜44歳男性:未婚率 約29.1%
- 45〜49歳男性:未婚率 約27.2%
この数字から、「40代でも未婚の人は一定割合いる」という事実は理解できますが、逆に言えば結婚・再婚のハードルが高い年代であるという認識も持っておく必要があります。
- また、あるレポートでは、40代が婚活サービスを使った場合の成婚・婚約率を見たところ、サービス内婚約・結婚率は約24%、外部も含めるとさらにプラス要因があるものの、未婚・未婚継続の割合も大きいというデータがあります。
- さらに、別の報告では「40代で婚活して結婚できる確率」は23~50%程度というレンジも示されています。
これらのデータは、40代からの婚活は成功の可能性が決してゼロではないが、30代からスタートする場合に比べて難易度が上がるという現実を示しています。
40代で婚活を始めた場合に直面する主なリスク・ハードル
30代で動かずに40代を迎えて婚活を始めると、以下のようなリスクが出てきます。これらを理解しておくことで、早めに動いたほうがいい理由がよりクリアになるでしょう。
出会いの機会の減少・選択肢の狭まり
- 年齢が上がるほど、同世代または相応しい年齢の異性との接点は自然に減ります。日常生活(職場・地域・趣味)での出会いが減る傾向が強いため、婚活サービスが主戦場となる可能性が高くなります。
- 特に女性の場合、年齢上昇により「年下男性希望」や「若い世代とのギャップ」などのミスマッチが起こりやすくなります。実際、40代女性は婚活市場で「希望条件と現実のギャップ」に悩むケースが多いという報告があります。
- 男性の場合も、年齢が上がると「年齢のマイナス要素」が重視されがちで、女性側から見て年上すぎることを敬遠されるケースもあります。
条件競争力の低下(健康・見た目・ライフステージ等)
- 年齢を重ねると体力・健康・外見(しわ・白髪・体型変化など)に変化が出やすく、若い世代と比べて見た目で不利になることがあります。
- また、ライフステージ(子どもを持つかどうか、住居、介護など)の選択肢や制約もより厳しくなります。相手側が「年齢的なリスク」を懸念する可能性があります。
- 結婚後の生活設計(老後、健康リスクなど)を考慮する際、年齢高めのパートナーを迎えることには金銭的・体力的な負担が伴いやすく、相手からの懸念材料になり得ます。
成婚率・活動効率の低下
- 上段で示したように、40代になってから婚活を始めると統計的には成婚率が下がるという現実があります。
- 同じ活動をしても、30代前半に比べて1回の出会いあたりの成功度合い(マッチング率・交際率)が低くなる可能性があります。
- また、「理想を高く持ちすぎる」「選り好みしすぎる」といった傾向が出やすく、効率よく相手と交際を進めるのが難しくなるリスクがあります。
心理的なプレッシャー・焦り
- 年齢を重ねることで「婚期を逃す」「もう機会がないかも」といった焦りが強まることがあります。
- 自己肯定感の低下、過去の経験や失敗による心のブロックが強まるケースもあります。
- 焦って条件を妥協してしまったり、不安から無理なアプローチをして失敗するケースも出てきます。
相手から求められる条件のハードル
- 年齢が上がると、相手(特に女性側)が「年齢差」「健康状態」「価値観の合致」「将来設計」などにより厳しい条件を重視しやすくなります。
- たとえば、若い年齢のパートナーを希望する女性は、年上男性に対して「エネルギー・健康・人生設計の安定性」をより強く求める傾向があります。
- 特に女性側は出産適齢期や年齢によるライフプランを意識することが多いため、年齢差や年齢制約を見据えて活動する必要が出てきます。
男女別に見た「40代婚活リスク」の違い
男性と女性とでは、婚活市場での年齢プレッシャーや期待値が異なるため、40代から婚活を始める際のリスクや戦略も変わります。
女性の立場からのハードル
- 女性は年齢に対する制約(特に出産や体力・健康面)を意識しやすく、婚活市場でも年齢の影響がより強く働きます。IBJデータなどでも、女性の成婚率は年齢上昇とともに落ちる傾向が強いという報告があります。
- 30代の後半~40代になると、同年代または年下男性を希望する傾向が強くなることがあり、相手の選択肢が狭まりやすいです。
- また、女性側は「若々しさ」「柔軟性」「共感力」などを重視される場面が多く、年齢による印象変化を気にされることが増えます。
- さらに、女性の「モテ期」が30代前半あたりと言われることもあり、その後の年齢上昇でのギャップ意識は心理的にも大きくなります。
男性の立場からのハードル
- 男性も当然年齢の影響を受けますが、女性よりは多少「年齢の余地」がある場合もあります。たとえば、IBJデータでは男性の30代が成婚のピークであり、40代でも一定の成婚率を保つという報告があります。
- ただし、IBJの別の分析では、年収が高い男性ほど成婚率が上がる傾向がありますが、年齢が上がると年収の影響が和らぐとも言われています。つまり、年齢高めでは「年収だけではカバーしづらい」という現実もあります。
- また、男性は「若い女性を希望する」ことが多く、年齢差の期待が相手からの拒否理由になりがちです。実際、成婚相手との年齢差が男性側で年代が上がるほど広がるという傾向も報告されています。
- さらに、年齢を重ねると男性側も体力・健康・趣味の柔軟性などで制約が出やすく、女性側のニーズに応えにくくなるケースもあります。
なぜ30代で婚活を始めたほうが成功しやすいのか — 戦略と優位性
上記のリスクを踏まえたうえで、30代で婚活を始めることの利点を整理すると、以下のような点が挙げられます。
出会いのチャンスと選択肢が豊富な時期
- 30代はまだ家庭・育児や体力の制約が出にくいため、活動範囲(仕事・交友関係・趣味)での出会い機会が比較的多く保てます。
- 結婚相談所やマッチングアプリなどの利用でも、同年代・若年層とマッチングしやすいです。
- 年齢が若いうちから動くことで、相手選びの幅(年齢・条件・価値観の合致)を維持できます。
成婚率・成功効率の優位性
- 統計的に成婚率が高い年代で活動することで、婚活が早く結果につながりやすいという優位があります。
- 成婚率が高い年代での活動は「成功体験」を重ねやすく、モチベーションの維持にもつながります。
- また、年齢が若いうちに交際経験を重ねることで、相手との相性や自己理解も深まりやすくなります。
心理的余裕と成長期間を持てる
- 30代で始めれば、焦りやプレッシャーを感じにくく、試行錯誤しながら婚活スタイルを築きやすいです。
- 多少条件を修正しつつ柔軟に動ける時間的余裕もあります。
- 自己改善(見た目、収入、性格、価値観の見直しなど)をじっくり進められる期間が確保できます。
年齢差・条件交渉に有利になる
- 若いうちは「年下相手の希望」など年齢ギャップが拡大するリスクが低く、条件交渉がしやすいです。
- 相手側も年齢を重視しがちなので、年齢的余裕があるほど交渉力を持てる可能性があります。
リスクを回避できる
- 遅いスタートで起こる「選択肢の縮小」「条件妥協」「焦りからの失敗」などのリスクをある程度回避できる。
- 将来的に「最後のチャンス」感を抱えず、冷静に候補を見られるスタンスを長く保つことができます。
具体的な戦略 — 30代で始めれば準備できること
30代で婚活を始めるなら、次のようなステップを早めに意識して進めると、40代になってから柔軟性を保てるでしょう。
- 自己資源の強化
収入・キャリア・副業・資産形成など、経済的な基盤を整えておく。
この点で男性も女性も早期準備が助けになります。 - 自己理解と価値観の明確化
自分が本当に大切にしたいこと・ライフスタイル・将来像を言語化しておく。 - 見た目・健康・コミュニケーション力の改善
服装・髪型・体型・話し方など、他者に与える印象を磨く。
若いうちから習慣化すれば年齢を重ねても対応しやすい。 - 婚活手法の実践と経験値を積む
マッチングアプリ、婚活パーティー、結婚相談所などを併用し、どれが自分に合うか見極める。 - 行動量と反復改善
多くの出会いを経験しつつ、データ(いいね率・返信率・仮交際率など)をもとに改善を繰り返す。 - 心理的ケアとメンタル強化
失敗や拒絶を経験したときに落ち込みすぎない力(レジリエンス)を育てておく。
こうした備えを30代のうちに進めておけば、40代になってから婚活を始めても、単なる“後追い”ではなく“有利なスタートライン”を維持できる可能性が高まります。
まとめ
30代で婚活を始めず、40代になってからスタートすることには、統計的にも感覚的にもさまざまなリスクがあります。出会いの機会が減り、条件競争力が低下し、心理的なプレッシャーが強まることは、決して無視できない事実です。
しかし、遅く始めても成功可能性がゼロというわけではありません。成婚率が20〜30%程度の層でも成婚例は多くあります。
ただし、「時間が味方」になりにくい以上、できるだけ早く動き始めたほうが有利になることは確かです。30代のうちから自己改善と行動を積み重ねておけば、40代以降の婚活でも比較的柔軟に、かつ力強く取り組めるはずです。



